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子どものアトピー

乳幼児期のアトピー性皮膚炎って?

どの子にでも起こりうる
成長時の皮膚のトラブル(成長期一過性皮膚症)
未熟な皮膚が成長し、機能が完成いくとともに、
自然治癒する。

アトピー性皮膚炎の原因はなに?

アトピー性皮膚炎は、赤ちゃんが大きくなる時に、どの子にでも起こりうる皮膚のトラブルで、成長していくにつれ自然に治癒へ向かっていきます。

アトピー性皮膚炎とは、皮膚の上層部に生じるかゆみを伴う慢性的な炎症です。日本の乳幼児の10%以上にみられますので、少しも珍しい疾患ではありません(厚生労働省科学研究平成12年〜平成14年)。

患者の約66%が1歳未満で、90%が5歳までに発病します。子どもの体が大きくなる時(体を包む皮膚もどんどん大きくなっていく時)に見られる皮膚のトラブルです。

子どものアトピーの半数は小学生の間に治っていきますが、ステロイド治療を続けていると、ステロイド依存が原因でアトピー性皮膚炎が長く続き、成人になっても治らない場合があります。

発病の原因は、体質、環境、ストレスなどのさまざまな原因が推察されています。特定されたものはありません。患者さんの多くはアトピー素因(下段コラム参照)をもっているといわれています。アトピー素因と発病の関係性ははっきりわかっておらず、アトピー素因があるから発病するわけではありません。

食事や生活スタイル、入浴、遊び、睡眠など、子どものアトピーが消えるために大切なことをお話ししていきます。

始まりは赤ちゃんの頬の赤みから

アトピーの多くは、顔の湿疹で始まります。

大人に比べると、赤ちゃんの顔は体に比べて大きいです。成人が7頭身だとすると、1歳の子どもは4頭身程度です。顔(頭)は体全体の中で大きな割合を占めています。乳児期は、1年間で体重が3倍に増えますが、最も成長のスピードが早く増大するのは頭です。つまり頭を包む顔の皮膚の細胞分裂はさかんに行われています。早いスピードで皮膚を作り増殖拡大するという作業が、少し苦手な赤ちゃんは、どんどん大きくなる頭に合わせて全体を包み込むしっかりとした皮膚を作ることが追いつかずに、皮膚が壊れてしまい、湿疹ができやすいのです。皮膚を作るのが上手な子もいれば、上手に作るようになるのに時間がかかる子もいます。

アトピーは、顔以外にもひじ肘の内側やひざ膝の内側、関節まわりなどに出てきますが、成長のスピードが徐々にゆるやかになる1歳を迎える頃には、ぐんぐんとよくなっていきます(図1参照)。1歳を過ぎると、体の成長速度はゆるやかになるので、皮膚の分裂増殖もゆるやかになり、幼い子どもも強い皮膚を作っていかれるようになります。未熟な皮膚が、成長し機能が完成していくとともに、自然治癒します。

赤ちゃんの顔の湿疹がどんなにひどくても跡が残ることはありません。何もぬらなければ赤ちゃんは、自分の力で強い皮膚を作り、治っていきます。

(図1)

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「アトピー素因」ってなに?

アトピーの患者さんの多くがもっているといわれる「アトピー素因」。ご家族または患者さん本人が、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎、アトピー性皮膚炎等の疾患にかかっている(いた)こと。または、lgE抗体を産出しやすくアレルギーがおこりやすい体質のことをいいます。遺伝性やアレルギー体質だからといって、アトピー性皮膚炎を発病するわけではありません。「環境」の影響を受けて発生します。

※IgE抗体…アレルギー反応に関わる物質です。血液検査をしてどの食物に対するIgE抗体がどれぐらいあるかを調べ、食物を犯人扱いにしますが、検査が陽性になることと、アレルギーが生じることは無関係といってもよいくらいです。
赤ちゃんの血液検査で、原因を確定することはできません。
むやみに食事制限をすると、低栄養低体重をまねき、アトピーが悪化しますから、アレルギー検査は断るほうが無難です。

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乳児アトピーと乳児湿疹と脂漏性湿疹は、何がちがうの?

子どもの湿疹で受診すると、乳児アトピーと言わたり、乳児湿疹や脂漏性湿疹と言われたりと、先生によって異なる病名を告げられた経験はありませんか。この3つはいずれも、赤ちゃんの皮膚のトラブルです。未熟な皮膚が成長し、機能が完成していくとともに、どれも自然治癒します。

同じ症状に対しても、医療の現場では病名が混在して使われているのが、現状です。赤ちゃんの時の皮膚のトラブルはいずれも、成長とともに自然と治っていきます。

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