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子どものアトピーQ&A
お母さんたちからの質問!

Q. ステロイド(副腎皮質ホルモン)などの薬をぬってもぬっても治りません。

A. ステロイドは、アトピーを治す薬ではありません。
強力な抗炎症作用(湿疹を抑える力)をもつ薬です。

アトピー性皮膚炎は小児期に起こり、皮膚のかゆみをともない、年齢とともに自然治癒していく傾向にある疾患です。外用薬は対症療法ですから、一時的に炎症を抑えますがアトピー性皮膚炎を治す薬ではありません。どのような薬も効果が強いだけそれに伴う反作用(副作用)も強くもち合わせます。


1.ステロイド外用剤

抗炎症作用が強く、症状をよく抑えます。局所副作用としては、ホルモン作用により皮膚を構築する繊維増殖を抑制しますので、皮膚が薄くなり、老人では打ち身の時に内出血しやすくなります。また薬の吸収がよい顔面では毛細血管拡張・にきびなどもよくおこります。

長期間、使用したときは、皮膚がステロイド剤へ依存することがあり、使用をやめるとリバウンド(皮膚症状の強い悪化)がみられます。小児は皮膚が薄く薬の浸透が高いために効果もよくでるのですが、副作用も生じやすく、全身に毎日使用すると皮膚から吸収されて副腎抑制を起こすことが知られています。アメリカのステロイド外用剤添付文書には、小児に対して長期外用の効果と安全性は確認されていないと記載されています。

アトピッ子へのステロイドの使用はできるだけ行わず、使用するときは炎症の強い部分に局所的に短期間使用すること、連用せずに間を置いて使うことが大切です。ステロイド内服薬は小児アトピー性皮膚炎の患者さんには原則使用しません。ステロイドは免疫を抑制し、種々の副作用を生じることがあるからです。

2.ステロイドを含有しない外用剤

非ステロイド外用剤(消炎鎮痛剤を含む軟膏アンダームなど)、抗生剤含有軟膏(ゲンタシンやクロマイなど)、いろいろな保湿剤(アズノールやヒルドイドなど)がこれに含まれます。注意点は、非ステロイド外用剤はかぶれを起こしやすいこと、抗生剤含有軟膏は感染に対する効果は高くないこと、保湿剤も全身に毎日使うと皮膚の保湿する力が育たないことなどがあります。

3.その他

漢方薬は自然治癒を招く薬のように思われがちですが、多くの漢方の成分効果効能は不明です。一方抗ヒスタミン剤(ポララシンなど)は古くから使用されており副作用は眠気などです。子どもは大人に比べ抗ヒスタミン剤は高い効果があります。アトピー性皮膚炎のかゆみはヒスタミンのみで起こるのではないので、アトピー性皮膚炎の全てのかゆみをおさえることはできません。


アトピー性皮膚炎は、時間をかけ、皮膚が外界のいろいろな現象に適応できる能力が高まり「自然治癒」が導かれ治っていきます。子どもは高い自然治癒能力をもっていますから、安易に外用薬に頼らないで気長に経過をみること、ステロイドはできるだけ使用せずに自然治癒を妨げない治療を行うことが大切です。

Q. おむつかぶれで悩んでいます。

A. 原因はサウナのような環境。
おしりを十分に乾かすことがポイントです。

私たちの体の表面を覆っている皮膚の構造って、けっこう複雑なのをご存じですか。単純な一枚の皮でできているわけではありません。皮膚は表皮と真皮とに分かれ、いちばん表面に近いところを角質層と呼びます。何層にもおよぶ厚い角質層が全身の表皮を多い、皮膚のバリアとなります。

この角質層、じつは表皮細胞の死骸なんです。死骸であると同時に、外の刺激物(化学物質、アレルゲン、細菌、紫外線など)から内部の細胞を守り、水分の蒸発を防ぐという、とても重要な役目を果たしています。

ドライスキンやアトピー性皮膚炎、おむつかぶれなどトラブルを抱えた皮膚の多くは、角質細胞の配列に隙間が生じて、角質層の機能が弱まった状態といえます。乳幼児期は汗の量が多く、重ね着をして汗でぬれた下着のために皮膚が蒸れ、角質層が壊れることがあります。皮膚にとって、蒸れた状態は好ましくありません。蒸れることで、角質層のバリア機能が弱まってしまうからです。

おむつの中はサウナのように湿度の高い状態です。このように湿度の高い環境に加え、おむつの機械的刺激(尿を吸って硬くなった紙おむつで大腿がこすれ、湿疹ができる)、尿や便による刺激(細菌の増殖やアンモニアなど)によって角質層が破壊され、「おむつ皮膚炎(通称おむつかぶれ)」が起きます。

カンジダが増殖したことで起きる皮膚症状を「カンジダ症」といいますが、おむつをしている赤ちゃんにも見られます。カンジダは健常人の糞便、膣、咽頭、口腔、皮膚から培養される常在菌です。カビの一種ですから、皮膚環境の湿度が高くなると増殖します。

見た目の症状としては、境界がはっきりとした赤い点々ができ、小水泡や膿などが見られることがあります。カンジダ症のときは、抗真菌剤を1日1、2回ぬります。

便が出ていたら、おむつ交換はおむつを替えるだけでOKです。洗ったり拭いたりする必要はありません。便がついていたら、ティッシュペーパーなどでやさしく拭き、水で軽く流すか、水で絞ったタオルでぽんぽんとたたいて、その後しっかり乾燥させておむつをつけます。その際、市販の「おしり拭き」を使うのは、肌の弱い子には適していません。ぬれた紙や布で皮膚をこすると、皮膚は痛んでしまい、赤くなりますから。

水は皮膚を刺激し、赤ちゃんに心地よい刺激をあたえます。石鹸はいりません。入浴時も石鹸は不用です。もしかぶれでおしりが赤くなっているときは、短時間でもおむつをはずし、パンツをはかせて通気性をよくしてください。風通しがよいと、赤みは改善されます。

Q. ステロイドは治療に欠かせないもの?
大人になってもアトピーは続くの?

A. ステロイドを使わないで生活できる子は、
使わないことをおすすめします。
自然治癒すると、成長とともに
症状はおさまっていきます。

子どものアトピー性皮膚炎は、成長とともに自然治癒していく傾向にあります。外用薬は、対症療法ですから一時的に炎症を抑えますが、アトピー性皮膚炎を治す薬ではありません。どんな薬も効果が高いだけ、それに伴う副作用も強くもち合わせるので、使い続けると副作用の症状(ステロイド依存)がでて大人になってからも薬なしではやっていけなくなります。ステロイドを使わないで生活できる子は使わずに待っていると、成長とともに症状がおさまってきますよ。

アトピーの症状が強くて、ステロイドを毎日ぬっている時は、ゆっくり減量していくことをすすめます。急に中止すると、子どもは強いかゆみに夜も眠れなくなることがあります。

生活のなかでかゆみの原因を減らします。たとえば、お風呂に入るとかゆくなる子は、お風呂をやめます。着替えだけで十分です。外で遊んでいる時に子どもはかゆくないので、外で遊ぶ時間を増やします。お稽古ごとはしばらくお預け。夜、かゆみでふとんを蹴る子は、思い切って掛け布団をやめてみます。本当に寒ければまた布団に戻ってきますよ。かゆみが減れば、薬をぬる量も減ってきます。

注意することは、ステロイドの代用として、いろいろな化粧水や乳液などを使わないことです。かぶれを起こして、症状が悪化することがありますから。カサカサ肌くらいでしたら、ステロイドも保湿も行わず、何もぬらないでいましょう。皮膚は、カサカサしたままおいておくと、ゆっくり自分で保湿を始めていきます。乾燥に耐える力がわいてきます。

本来アトピー性皮膚炎は、「頬の発赤と耳切れで始まり、肘(ひじ)と膝(ひざ)の内側にだけでて、いずれは治る子どもの軽い皮膚病」でした。子どもの遊び場が室内になり、石鹸・シャンプーの使用頻度が増えるなど、現代社会の環境と生活スタイルの急激な変化がアトピーに影響を与え、ステロイド外用剤を繰り返し使ったためにバリア機能がさらに小さくなり、アトピーが治りにくくなった一面があります。アトピーを治すためには、「ステロイドに頼らない」「皮膚環境を整備する。界面活性剤〜石鹸製剤やクリーム類を使わない」「生活環境を整える。早寝早起き、運動、睡眠」です。自然治癒に向かう疾患なのですから、環境がととのえば数年経つうちに症状は消えていくはずです。

Q. 日焼け止めはぬったほうがいいの?

A. 子どもの皮膚には、何もぬらないでください。

子どもには、日焼け止めはいりません。日差しが強くなる春から夏にかけて、ゆっくりゆっくり季節とともに皮膚を日光に慣らしてください。普段から日光に当たって遊んでいると、皮膚はメラニン色素を増やして、日光へのバリア機能を作っていきます。

毎日室内で過ごし普段日光に当たっていない子どもが、夏に海水浴に行くと大変です。この時は、シャツを着せるか日焼け止めをぬりましょう。子どもは帽子も嫌いです。できれば夏は木陰のある遊び場で遊ばせてください。

Q. プールの塩素が心配です。

A. プールの後には必ずシャワーを。
塩素はシャワー後、皮膚に残りません。

日本では水中に菌をふやさないために、一定の塩素濃度を保つことが決められています。塩素を水にいれることは、感染症を防ぐためにやむをえないことです。塩素のおかげで、毎日感染症の心配もなく水が使えます。水道水の遊離残留塩素濃度は0.1mg/L以上とされています。水道水の基準は蛇口での基準ですので、風呂にためている間に塩素濃度は低下していきます。二番湯だと、ほとんど塩素は消えています。また、備長炭やレモンを一切れ浴槽に入れると塩素は消えていきます。

プール水に使われる次亜塩素酸ソーダ(塩素)は、遊離する塩素が、大腸菌やウイルスのたんぱくと反応し殺菌効果を発揮します。プールの水の臭いは、きわめて微量の塩素が蒸発した塩素臭です。プールの遊離残留塩素濃度は0.4~1.0mg/L以下とされています。プールは殺菌のために水の塩素濃度を維持しないといけないので、時々塩素(次亜塩素酸塩など)を放りこみます。

従って、実際に家庭で使用する状態の水とプールの水では塩素濃度が何倍も違うということになります。多くの人が利用するプールにはいろいろな汚れも浮いているので、プールの後ではシャワー(水道水)をあびます。屋内スイミングスクールは水温が高いので、皮膚のトラブルの一因になります。1年を通して屋内プール(温水)に週1時間入ることは、汗・垢・皮脂の保護膜が溶解しやすくなり、皮膚のかゆみの引き金になることもあります。学校の屋外プールや海などは水温は低く、屋内プールに比べて皮脂の溶解の心配がありません。塩素はシャワー後、皮膚に残ることはありません。

プールではゴーグルの使用をおすすめします。目はいろいろな刺激で赤くなることがあり、プール後に目を水道水で洗うことは、「塩素を含んだ水で眼球をわざわざ洗う」ということで賛否両論ありますから、ゴーグルの着用がベストと思います。

プールの好きな子の場合、水泳教室を続けるかどうかは、本人の気持ちが一番です。プールのあった日は、プールの後にシャワーを済ませているので、お風呂はやめてください。

Q. えっ、ある日突然!

A. それは、カポジー水痘様発疹症です。

風邪をひいて高熱が出たあくる日に、突然ひどいぶつぶつが広がることがあります。一晩で顔中、背中一面にひろがっていきます。ヘルペスウイルスが原因です。1週間すると、かさぶたになり、その後1週間できれいになっていきます。かゆみはありません。

1.高熱のあとに、背中一面に赤みと小さな水泡がバラバラとでてきます。

2.翌日に熱は下がります。背中をぬらさず1週間乾燥させていきます。何もぬりません。抗ウイルス剤と抗生剤を飲みます。

3.2週間目には、かさぶたも落ちて、治ります。

Q. 夜中にかゆくて体をかきむしっています。
かかせたくないのですが、どうしたらいいですか?

A. お母さんは、「子どもがかくことを
こわがらない」でください。
子どもがかきたいだけ自由にかかせてください。

夜は体が交感神経支配から副交感神経支配にかわります。皮膚に血液を送る末梢血管は、昼間緊張して収縮している状態から緊張がとれてゆるみ、血液が流れこんでくるために皮膚温が高くなるので、寝るときはかゆみがでるのです。

お母さんは夜子どもが「かくことをこわがらない」でください。ぼりぼり・ごりごりと子どもがかく音を聞くと、「不安でなんとかしなくては」と思いがちですが、親の不安が子どもに伝わります。子どもが目を覚ました時は「かいても大丈夫」「自分でかいてね」「ちゃんと治るから」と声をかけます。夜、大きな音をさせてかいていても、多くの場合子どもは寝ています。かく音が気になって親が眠れなくて睡眠不足になると、日常の家事がつらくなります。できれば子どもと別の部屋に寝て、子どもがかく音を聞かないことがおすすめです。「かかせまい」と、ミトンをはめたり、手をおさえたり、わざわざ起こしたりはしないでください。

次に早起きが大切。朝の日光をしっかり浴びることは、夜の健やかな睡眠につながります。外気に触れ散歩をして、1日を心地よく始めて、早起きが定着すれば早寝ができます。

そして、子どもが良質な睡眠をとるためには、昼間の過ごし方が大切です。生活リズムの乱れがあると、乳幼児の睡眠はとりにくくなります。「昼間は保育園で遊んでいるのに」と言われますが、保育園では小さな園庭で限られた時間での遊びになりがちです。特に乳児の場合は部屋で過ごす時間が長いようです。1日中、室内で壁ばかり見ていては体も心も疲れません。午前中に、お散歩にいけるといいですね。

●寝る前の過ごし方

寝る前に興奮しないよう、テレビは早めに切ってください。絵本も控えます。6時過ぎに夕食をとり、食後2時間あけて睡眠に入る。寝る直前に食べたり飲んだりは避けます。室内の明かりは全て消します。お父さんの帰宅に合わせて、起こさないでください。

●入浴

皮膚の症状が強いときは、入浴を避けてください。昼にさっとシャワーをする程度にして、夜は着替えだけがおすすめです。よくなってきたら、入浴は再開します。子どもは1カ月風呂にはいらなくても案外平気です。風呂をやめただけで、夜ぐっすり眠った子もいます。

●パジャマのこと

夜は肌着のシャツ1枚と、おむつだけ(パンツだけ)がおすすめです。上下がつながったロンパースなど皮膚全体を覆った衣類では、汗で体がむれ、かゆみがでます。蒸れた皮膚(角質層)は壊れやすく、かくと簡単に傷ができます。冬でも夜着は必ず1枚とし、2枚着せずに寝ます。

冬に下着とパジャマを2枚着ている子に、背中の湿疹がよくみられます。パジャマの素材は綿100%、またはシルクで無地がおすすめです。フリースや化学繊維、起毛のパジャマは着せません。シルクパジャマ1枚だけで寝させてみてください。シルクは水分を通過させるので、肌に熱と蒸気がこもらず夏はひんやり、冬もさらさらです。

Q. 肌を隠そうと長袖を着たがる子。
蒸れて症状が悪くなるのが心配です。

A. きれば蒸れにくい服装が好ましいけれど、
子どもの気持ちを優先してください。

子どもの気持ちが一番大切です。「湿疹は隠すもの、よくないもの」という周りの雰囲気を感じとっているのかもしれません。肌の治療も大切ですが、子どもの気持ちを優先してください。

服は、半袖・長袖に関わらず、汗を吸収する綿100%が基本です。なるべく柔らかいものを選んでください。もともと子どもの衣類は綿素材が多いですが、近頃は化学繊維混合素材も増えてきました。冬でも化学繊維の素材、特に汗が乾きにくいヒートテックやフリースなどは避けたほうが無難です。

首回りがきつい服やロンパースのようにおむつの下で止める形状は、空気が流れず汗が乾きにくく、赤ちゃんの動きもじゃまするので好ましくありません。首元が大きくあいて、空気が入りやすい大きなサイズが好ましいです。

Q. 遊びに夢中で汗ばむとボリボリとかいてしまいます。
汗をかかせるのってよくないの?

A. 汗には皮膚にとって重要な役割があります。
汗が乾きやすい服装でいることを心がけましょう。

汗は、運動などで上がった体温を下げるという大切な役割があります。子どもは新陳代謝が高いので体温も高く、いつも動いているので、多量に発汗します。汗の働きには皮膚に潤いを与える、薬剤を排泄するという役割もあり、体にとっても重要なのです。

汗をかく皮膚の能力は、3歳頃までに身についていきます。アトピー性皮膚炎の子どもは「暑いときでも、汗をかくまでに時間がかかる」「汗の量が少ない」ことがあります。乳幼児期にしっかり汗をかいて「汗をかく能力」を育てれば、成長するにつれてアトピーの症状はよくなっていきます。

汗をかいたらすぐに汗が乾くように薄着でいることが大切です。夏はパンツ1枚! 冬はフリース素材やタートルネックなどを着せたりせずに、子どもが寒がっていなければ半袖・半ズボンの薄着で過ごしましょう。厚着をして汗で皮膚が蒸れるとかゆみが増し、湿疹も悪くなります。夜寝る時に、下着をつけずにパジャマ1枚で寝ることも大切です。

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