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コラム/皮膚の成り立ち

皮膚は最前列でがんばります

生物にとって大切なことは、「生き続ける」ことです。命あるものは「生き続けるため」に日々の営みを続けます。私たちの体は、大切なものを体の奥にしまいこみ守ります。「命」が続くために最も大切な臓器である脳は、外から決して触れられることのないように硬い頭蓋骨に包み守られています。心臓や内臓は、ろっ骨で守られています。一方皮膚は体の一番外側で、外界と体の境界となり、体全体を覆います。

大怪我をした時など、命がおびやかされる危険が起きると、体は「生き続けるため」に優先する順序をきめて血液を送ります。生きる上で大切な脳や心臓へ優先して血液を送り、末梢組織や皮膚への血液循環は止められ、手足は冷たくなります。皮膚は臓器としての重要性が低いので、命の脅かされる場面では血流が落ちる一方、数分間血流がとだえると機能を失い再生できなくなる脳や心臓と異なり、長時間血流がとだえてももちこたえます。

外界と接している皮膚はいろいろなトラブルに会います。胎児のときは羊水に守られていた皮膚は、一度この世に出てくると安穏とは過ごせません。外界の影響を直接うけます。夏から冬にかけ40度の温度変化に接し、湿度も100%から10%まで幅があり、紫外線にさらされ、風に吹かれ、虫に刺され、小さな傷は日常茶飯事です。皮膚はいろいろな外界の変化に適応して最前列でがんばっています。

皮膚はいろいろな仕事をします

皮膚の機能

皮膚は体全体を覆います。

体温が上がると血管拡張、発汗により、体温を下げる。

寒い時は、毛の立毛筋を収縮させ、血管を収縮させ、体温が奪われないようにする。

細菌・水の侵入をふせぐ。

発汗と同時に不必要なものを排出する。

「皮脂腺」から皮脂を供給する。分泌された皮脂は抗菌作用をもつ。

メラニン色素をふやして紫外線から細胞を守る。

皮膚に達する神経終末によって、触覚・痛覚・温覚・冷覚を感じ、大脳に伝える。

皮膚は皮膚自身で、菌と戦う抗生剤の様なものや、やステロイドホルモンなどを作っています。自立しているのです。

ベースから新しい表皮細胞がうまれます

皮膚の構造

面積/成人の平均1.6m2(平方メートル:畳1畳程)

重量/約3kg

厚さ/1.5〜4mm

まぶたの皮膚はもっとも薄い 皮膚=表皮+真皮+皮下組織

表皮はケラチノサイト(角化細胞)からなります

最下層を基底層といい、ケラチノサイトは最下層で分裂し、上にむかっていきます。最上層にくるとケラチノサイトは核を失い「死んで」、角層として2週間バリアとして働き、その後脱落してきます。皮膚の入れ替わりには6週間前後かかります。表皮はいつも「入れ替わる」組織です。

皮膚が「美しく輝く皮膚」になるには、基底層から「強く輝く皮膚」を再生して入れ替わることが必用です。乾燥している皮膚の上に、保湿をすれば見た目はしっとりと見えますが、「表皮のケラチノサイト」が強い皮膚を作ったわけではありません。

スポーツ選手の皮膚が「鋼鉄のように強く輝く」のは、表皮細胞(その下の真皮や皮下組織も)が分裂して新しく皮膚を作る力が強いからです。スポーツマンは運動量が多いことで末梢の皮膚まで多量の血液が流れこみ、代謝がよく、強くしっかりした皮膚を作る力があります。体のすみずみまで栄養が行き届くことが真の皮膚を作る力になります(アスリートにアトピーなし)。

子どもは活動的で、新陳代謝が盛んです。十分に体を動かし、しっかりと睡眠食事をとっていれば、新しく強い皮膚へと作り変えられます。皮膚の入れ替わりには1クール1~2カ月かかりますから、2~3クールの期間、生活スタイルが整うときれいな皮膚が再生されます。日本の風土は四季があり、1年を通して湿度が高い国ですから、皮膚は数年をかけてどの季節にも対応できる皮膚を獲得していきます。

(参考文献/『皮膚科学』上野賢一著・金芳堂)

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