私のアトピー体験談
ステロイドの使用からステロイドをやめるまで
その2 ――こうちゃんのお話
生後の肌トラブルからステロイド使用、ステロイドを中止した
“こうちゃん”のお話です。
1カ月健診
ステロイドを使用
生後2週間ごろから頬に、ガサガサがほんのすこし見られました。1カ月健診の時に、「石鹸できちんと洗って、ステロイドを毎日ぬりなさい」と言われ、キンダーベートをぬりました。
ステロイドを使うのはいやでしたが、小児科医から「ぬりなさい」と言われたので、しかたなく毎日ぬっていました。ぬっているときは、顔も体もきれいでした。
3月
ステロイドをやめる
3月1日にステロイドをやめたくて皮膚科を受診しました。
先生「最初にステロイドのランクダウンをします」
プレドニゾロン軟膏になりました。
先生「症状の強いところに、すこーしぬってください」
少しぬるのですね。
これまでは、「しっかり洗って、しっかりぬりなさい」と言われてました。でも、今回は全くぬりませんでした。「もう、ぬらない」と母は固く決心したから。
先生「生活スタイルの見直しをしましょう」
・授乳を3時間以上あける
・入浴は控え、シャワーだけ
・着替えは何度でもOK
・子どもがかくのを止めない
・母親の食事制限はなし
・寒がっていなければ薄着で過ごす
薄着だと、動きやすくてご機嫌。
4月
湿疹がひどくなる
ステロイドは全てやめました。どんどん湿疹がでて、顔もバリバリ、強い乾燥とかゆみ、体も真っ赤。頭皮もうぶせ(乳児脂漏性湿疹でできるかさぶたのようなもの)が厚く貼りついています。
最初にキンダーベートをぬらなければよかった。やめたらこんなに悪くなるなんて思っていませんでした。とても不安です。「治らない子どもはいないから」と言われました。そうか、よし! とがんばります。
お風呂は全くやめました。皮膚をぬらさず乾燥させています。
予防接種に小児科を受診。
「こんなひどい肌の子には、予防接種はできません。なぜステロイドをぬらないの!」ステロイドをぬっていてもよくならなかったとお伝えしても、聞く耳もたずの先生でした。
涙があふれてきそうです。
この子のために、がんばってるのに。夜も寝れないのに。
5月
体重も順調に増加
体がやっと少し変わってきました。体重が順調に増えるので、心配ないと言われます。ステロイドはいっさいぬっていません。
もう二度とぬるものか!
離乳食も開始、食事制限はありません。他の子と同じように同じように。まだまだ夜もかいています。
6月
アトピーの会に参加
「きらきらぼし」という赤ちゃんアトピーの会に参加しました。お母さんと赤ちゃんが20組以上集まって、みなさんのお話を聞きました。お母さんたちの話に、時々もらい泣き。みんないっしょ。子どもがかわいくて、ステロイドに頼らずにがんばっている。必ずよくなるから、と。
「よし、私もがんばろう。絶対にこの子は治る」
みなさんと話ができて、心の重荷が軽くなりました。トンネルの向こうから光が差しこんできました。 出口は近いぞ!
7月
授乳回数を控えて離乳食をすすめる
離乳食をしっかり食べさせました。体重は少しずつ増えてきました。皮膚は赤みがひいて、傷ができにくくなってきました。
先生「母乳の回数が多いと、軟便回数が増えて、体重が増えにくいことがあります。離乳食回数を増やしてみて、母乳回数は減らしてください」
うんちが毎日10回程度、出ていました。母乳をあげる間隔を4時間程度あけて、回数を減らしました。ぐずる時は、お散歩に行きます。体重は8キロになりました。
8月
さくらっこ共同保育園との出会い
さくらっこ共同保育園に遊びに行きました。子どもの遊ばせ方にびっくり。広い部屋で赤ちゃんがのびのびと、自由に体を使って遊んでいます。大人は誰も手を出しません。
わが子も初体験。
目からウロコが落ちて、母はさらに子育て上手になりました。これまで、自由に遊ばせていたと思っていたけれど、まだまだスケールが小さかったと思います。
9キロになりました。
お肌はつるつる、ピカピカです。やっぱり治った!
薬はいらない。今も何もぬっていません。簡単にシャワーをして、毎日さっぱり。食欲旺盛です。
9月
アトピッ子の会を開きます
アトピッ子とお母さんの育児サークルを開くことにしました。
私も子どもがかゆがっているとき、どうしようかとても不安でした。そんな時に参加した「きらきらぼし」の集いで、他のお母さんたちとおしゃべりができ、みなさんの体験を聞いて、気持ちが癒され、励まされ、がんばっていくことができました。
他のお母さんたちにも、「がんばれエール」をおくりたいです。
医師を選ぶことの大切さ〔こうちゃんの場合〕
乳児期は予防接種・定期健診で小児科や保健所を訪れます。こうちゃんも、小児科を受診して予防接種を断られました。
「キンダーベートやロコイド程度のランク(マイルド)だから、効かない。もっと強いランクのステロイドをしっかりぬって、ちゃんと治療をしなさい。お母さん、ちゃんと治療をしているの? このままだと、どんどん悪化して入院になるよ」
こうちゃん母(泣いたら負けだ、泣くものか。病院を出るまでは絶対泣かない。)病院を出たとたんに、大粒の涙があふれてきました。
こうちゃん父「親が真剣に考えて決めた治療に、あれこれ言われる筋合はない」
別の小児科医に行きました。「よく来たな、赤いほっぺちゃん」。小児科のおじいちゃん先生は、いつもこうちゃんの目を見て話しかけてくれます。皮膚のことは何も言われません。予防接種も打ってもらって安心です。こうちゃんがよくなってくると「お母さん、信念を貫いたね。立派立派」とお褒めの言葉。おじいちゃん先生、いつまでも元気でいてくださいね。
体重が増えない!
赤ちゃんにとって、体重が増えないということは大きな負担になります。
体重が増えないと、低栄養、低たんぱくが起きます。低たんぱくによる下肢のむくみが起きることもあります。アトピーもどんどん悪化していきます。そして元気がなくなり、脱水や電解質バランスの崩れがおき、緊急入院してしまうというケースもみられます。このような全身状態の悪化が起きることがあるので、体重のチェックがとても大切です。