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ステロイドについて

ステロイドのやめ方

急にやめない! 慎重に、慎重に

ステロイドは急にやめない。慎重に取り組む

ステロイドを使っていない子どもにステロイドを使用せずに様子をみることと、ステロイドを使用している子どもがステロイドの中止を行うのは、異なる治療です。使用を中止することで、いろいろなトラブルが出ることがありますから、慎重に取り組んでください。ステロイド軟こうを塗るのをやめた後、皮膚症状がよくなっているのか、悪化しているのかを判断することもお母さんたちには難しいことです。急に中止をしないで、ゆっくりとできることから取り組むことをおすすめします。

ステロイドを使用していて調子がよいときは、急に治療方法を変えないことをすすめます。「調子のよい時を見て、外用量を少し減らしてみる」程度で様子をみてください。

ステロイドをぬると湿疹はよくなり、かゆみは消えます。ステロイドを中止するとかゆみが強くなり、湿疹が悪化します。ステロイドの中止は「一時的に悪化する治療」といってもいいかと思います。

治療なのに悪化する、と言う点は「許しがたい」ことです。お子さんがかゆみで夜眠れないと、お母さんの悩みは大きくなり、強い離脱皮膚炎がおきてしまうと、子どもは遊びにもいけずつらい思いをします。子どもは「お母さんががんばっている」と、文句も言わず、黙って耐えてしまいます。

ステロイドの減量は子どもの様子をみながら

子どもが「元気」で「機嫌よく遊び(幼稚園や保育園でよく遊ぶ)」「食欲がある」「体重が減らない」ことが大切です。反対に、薬を中止することで「元気がなくなり、遊べなくなる」「食欲がない」ときは、中止しないことをすすめます。ステロイドを使用しながらでも子どもの体力がつくと、ぬる場所やぬる量は少なくなります。

多くの子どもは、かゆみが関節に出たときに「ステロイドを少量ぬって過ごしていて、いつの間にか大きくなったらアトピーが消えていた」という経過をとっていると思われます。時々ステロイドをぬっても、ステロイド依存が起きなければ、成長と伴に皮膚は強くなっていき、アトピーは消えていくようです。

ステロイドを減量するためにおすすめしていること

毎日ステロイド外用剤を使っている方の場合

1.風呂をまずやめる

風呂をやめるだけで、風呂上りの乾燥やかゆみがなくなります。皮膚は水(湯)にぬれるととてもかゆくなり、ぬれた皮膚はかいた時に傷になりやすい。かく量が減ると、外用量は自然に少なくなります。

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風呂のやめ方

  • A.風呂場に行かず、夜は服をぬいで下着一枚で寝かせます(着替えなし)。着替えをせずに1日着ていた下着1枚で寝ると、適度に保湿となっているので、かゆみがでにくいようです。子どもは裸にしたときにかゆがります。着替えもせずにそのまま寝るとかゆみは出にくいようです。
    または、風呂場には行かないで、服をパジャマに着替えるだけで寝ます。 パジャマの下に何も着ないことが大切です。
  • B.シャワーだけする。
    石鹸はいっさい使わない。タオルでこすらない。乾燥の軽いときは、シャワーを簡単にします。行水をするつもりで流します。

親が「清潔にしないと子どもがかゆがる」と、思って石鹸や風呂をやめることができない時は、ステロイドは続けてぬります。中止するとかゆみがとても強くなるからです。清潔志向の強い親ごさんの場合は、ステロイドの減量は難しいです。

 

2.保湿剤をやめる

ヒルドイドローションや、ワセリン、馬油、アトピタクリームなどたくさんの保湿剤があります。ステロイドと違って保湿剤は、ぬるのをやめても大きな離脱皮膚炎は起きにくいのが普通です。ステロイドをやめるより、保湿剤を中止するほうが簡単です。

ステロイドの中止をするときに、代わりにいろいろな保湿剤を増やしていくことがありますが、保湿剤によるかぶれが起き、強いかゆみがおきる場合があります。保湿剤は危険です。

ステロイドを使用している皮膚は「乾燥しやすい」ので、たっぷりと保湿をしてしまうことが多いですが、「皮膚が乾燥に強くなる」ために保湿をやめることが必用です。

ステロイドは継続しておき、中止しやすい(離脱皮膚炎が起きにくい)保湿からやめていきます。保湿をやめて皮膚が乾燥に強くなると、ステロイドをぬる量も減っていきます。

先にステロイドの減量中止をして、その後に保湿をやめる方もあります。完全に保湿を中止することが、皮膚が良くなるために、大切です。

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保湿のやめ方

  • A.1日2回保湿をしているときは1日、1回にします。
  • B.全身にぬっているなら、皮膚の厚い背中などからぬるのをやめていきます。
  • C.さらにぬる量、回数を減らして、1~2週間で保湿なしにもっていきます。治っていくよい経過では、皮膚が粉々と乾燥して真っ白にみえることがあります。心配はいりません。「きな粉もち」になってくれば「OK!」。

保湿の中止をするときも、風呂は控えることが必用です。風呂にはいると、皮膚の天然保湿成分は失われます。風呂上りは乾燥が強くなり夜かゆみで寝ることができなくなります。

 

3.ステロイドをぬる回数を減らす

保湿がすっかり不要になったら、ステロイドを減量していきます。毎日2回ぬっているときは、1回にする。1日1回しかぬっていないときは、週に1~2回ぬらない日をつくるなど、その子にぬってきたステロイドの使用量と回数を減らしていきます。子どもが元気であれば、そのまま少ない使用量で生活を続けます。

 

4.ステロイドのランクを弱くする

ステロイドは5段階にランク(強さ)がわかれています。使用しているステロイドを1ランクか2ランク弱いものに置き換えることができます。

 

5.ごく少量のステロイド外用にする

ステロイドの減量ができてきたら、ぬる量を「1円玉サイズ」にしていきます。ぬり広げないで使います。ぬる時は、「汁がでる」「傷ができる」「赤みが強い」などが目安です。「乾燥だけ」ならステロイドはいりません。

子どもにストレスのない生活(楽しい毎日)を

午前中は十分に好きな遊び(できれば屋外)をし、新鮮な食材でおいしい料理をおなかいっぱい食べさせてください。「食事を強制せずに、食べたくなるおいしい料理を作る」ことがポイントです。食事はとても大切です。好き嫌いの多い子どもは、調理の工夫が必用です。「この子は野菜をまったく食べない」とか、「朝食は進まない」とか、「おやつのお菓子が多い」「夕食後、寝る前に〇〇を食べる」など、食事の問題点を解決すると、皮膚はよくなります。

アトピーがあるときは、皮膚をかき壊すこと、皮膚が乾燥して表面が落ちていくこと、ひどいときにはかいた場所から、滲出液や出血がみられることがあります。皮膚を再生するには、食事で栄養をしっかり取ることが必用になります。食事量が少なかったり、かたよったりしていると皮膚を新しく作ることができません。まず、しっかり食べること、そのためにお腹がすくこと、お腹がすくために体を使って遊ぶことが大切です。

家族の理解と協力が大切

「遊ばせている」とお母さんが思っていても、食事の進まない時は遊ぶ量(運動)が少し足りないかもしれません。2歳児であれば、毎日2キロのお散歩に、3歳児であれば、散歩道は山や川など起伏がある場所を歩いてみましょう。「午前中に遊びきる」ことが大切です。

すぐに抱っこしてしまうと、お腹がすきません。怒って歩かせるのではなく、「本人が歩きたくなる」散歩道を見つけてください。「今日はおじいちゃんが1日山で遊んでくれた」。そういう日は、子どもはよく食べて深い眠りにつきます。「そんな生活は無理」というときは、ステロイドの減量・中止に取り組まないことをすすめます。

どのような方法で取り組むかは、協力してくれる家族や仲間がいる環境かも考慮する必要があります。

「ステロイドはぬっていないけれど、1日中布団の中で泣いている」ということにはなりませんよう。

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