HOMEアトピっ子の素肌をつくる > アトピッ子 ママ・パパへのメッセージ > 成人患者さんからのエール

アトピッ子 ママ・パパへのメッセージ

アトピッ子をもつ親御さんへ(40歳・女性)

私は37歳の春に、ステロイドの使用をやめました。子どもの頃は喘息に苦しめられ、アトピーは後から症状が出ました。アトピーの症状はそんなに深刻なものではありませんでした。

大人になってから、顔などに美容面でちょっと症状がでると、すぐにステロイドで抑えました。もとのアトピーはさほどひどいものではなかったのに、気づくとステロイドなしではいられなくなっていました。20代後半からステロイドの内服を使用し、37歳まで過ごしました。特に効かなくなったわけではありませんが、ステロドはよくないと言われるし、なんとなく使用をやめたのです。後々、本当のステロイドのこわさを、身をもって知ることになりました。

やめて約1週間経つと、次々と体の異変を感じ、想像もしないような辛い症状に見舞われました。身体的に辛いのはもちろん、見た目に出る病気なので、精神的にも辛い…。特に私はお化粧したりおしゃれをしたりするのが大好きなので、精神的ショックも大きく、これまでの生活も仕事も一旦すべて手放すことになりました。それはもう絶望的な思いに駆られました。ステロイドをやめて3年目になりますが、今でも肌に振り回される日々を送っています。成人になってからの「脱ステロイド」は正直とても難しいものがあります。

そんな私を見た母は、喘息もちで病弱な小さい時を思い出し、「病院任せにせず、もう少し治療に対して意識をもち、気にするべきだった、使用する薬に対しても、もっと注意深くケアしていたら」と、後悔しています。しかし、それが病院での標準的な治療ですし、親として、子どもの具合が悪いから病院に連れていったのだから、本来は何も反省することはないのです。

アトピーは、それぞれ症状や重さが違うので安易なことは言えませんが、私が今まで見てきた中で思うのは、「治りにくい成人型アトピーになるかどうかは、子どもの頃の治療法が分かれ道」、そんな気がしています。


余談ですが、40歳の今も色白で、お肌がピチピチでとってもキレイな同級生の母が言っていました「娘のY子も息子のTも子どもの頃アトピーだったのよ」と。当時、たまたま行った古い皮膚科で年配の女医さんにかかり、「そのまんま、そのまんま、放っとけばいいの、ちゃんとそのうち治るから」と言われ、本当にそのままにしたそうです。気づいたときにはアトピーはなくなっていたようです…。元々色白で肌のきめが細かくて美肌体質の人に限って、敏感肌で、じつはアトピー体質だったりします。大人になって、元々もったアトピー体質でいくか、元々もった美肌になるかは、子どもの頃の過ごし方が分かれ道、そんな気がしてならないです。


私は本当に治りづらい成人型アトピーになってしまいましたが、もし今タイムスリップできるなら、現在の自分から子どもの頃の自分にアドバイスしてあげたいです。「途中とても辛く苦しい時期があったとしても、未来のゆで卵肌と笑顔のために、乗り超えて! 大丈夫だから…」。

親御さんたちは、近所の方、親戚の方、ママ友、周りからきっといろんな意見を出され、困惑したり、傷ついたり、不安になったり…、たくさんの苦労があると思います。本来、アトピーは子どもの病気。これを思い出してください。70、80歳でアトピーに苦しんでいる方には、ほとんどお目にかかったことがありません。その時代、ステロイドという新薬がまだなかったからではないでしょうか。不安に押しつぶされそうになって、泣き続けるわが子に耐えられなくなって揺れる気持ち、すごくわかります。それでも未来のお子さんの笑顔をイメージして、今この時をどうかその過程として乗り越えていただきたいと願います。お仲間もちゃんといますから。将来、親御さんにありがとうと感謝する、成長したお子さんをイメージして…。

アトピッ子をもつ親御さんへ(37歳・男性)

ステロイド歴は30年以上です。現在は37歳になります。

脱ステから3年経ちますが、今はアトピーだと気付かれないような見た目になりました。それでも体のかゆみはなくなりません。肌荒れも日常茶飯事です。しかし、ステロイドをぬっていた頃に比べたら、脱ステロイドの苦しかった日々に比べたら、ただのアトピーなんてなんとも思いません。大げさではなく本当に幸せだと思っています。

普通に生活できること。こんな単純なことが本当に幸せだと思えるほど、ステロイドに悩まされていました。


物心つく前から親にいろんな病院へ連れていかれ、どこの病院でもステロイドを出され、出されるままにぬっていました。「大人になればアトピーはよくなるからね」と、どこの病院の先生も口を揃えて言っていました。小学校、中学校、高校、就職と…大人になれば治るはずのアトピーは、逆に大人になるにつれて範囲が拡大していく一方でした。

小学生の頃には、関節や顔と手にしかなかったアトピーが、気付けば足の裏以外のすべての箇所にステロイドをぬる状態でした。症状が拡大することに疑問を感じていましたが、医者の言うことは絶対だと、素直に聞いてステロイドをぬり続けました。それが正しいと思っていたからです。毎日、全身は薬でベトベト、油臭く手の荒れは一番ひどかったので、夜はステロイドをぬった上から綿の手袋をして寝ることが当たり前でした。他人の視線が気になるために、顔に症状が出ることが本当にいやで、こまめにステロイドをぬり続けました。


そんなある日、インターネットで「脱ステロイド」という言葉を知りました。それから、「ステロイドを中止すること」についてよく調べました。自分とアトピーは切っても切れない生活の一部でした。何をするにもアトピーのことを先に考えます。アトピーが原因でできないこともたくさんありました。ステロイドの中止に取り組む皮膚科医を探し、ステロイドの中止を行い、死にたいって何度も思うような過酷な日々が続きました。家族にも毎日毎日本当に心配をかけました。脱ステロイドは、みなさんの想像を超える過酷さがあると思っています。

成人してからステロイドを中止する人にとって一番の心配は仕事のことです。長期間休まなくてはならない人は少なくありません。やめるなら、やめさせるには、子どものうちだと強く思います。自分の子どもが苦しむ姿が見たくないって思う気持ちもわかります。でも自分の体験談から言わせてもらえば、ステロイドと付き合ってきた人生は本当にひどかったです。

学生時代に、一度好きな子と花火大会に行こうと思って誘ったことがありました。花火大会当日、どうしても自分の顔の肌荒れのひどさが気になってしまい、断った苦い経験があります。その日は本当に悔しくて涙が出ました。ステロイドをぬり続けなければ、普通のアトピーで終わる、子どもの頃にやめておけば、アトピーがなくなることだってあるんです。

医者が口を揃えて言っていた「大人になればアトピーはよくなるよ」は…嘘じゃないと思っています。ただ、一言足りていません。「ステロイドを使わずに放っておけば、大人になればよくなるよ」って言葉が。今になってそこに気付きました。

人生に遅いなんてことはないと思いますが、早い分にはなおよいこともあります。これから成長していくわが子がステロイド依存にならないとは言い切れないですよね。今できること、ステロイドをぬらないこと。たったこれだけのことです。目先の苦しみよりも、長く続く苦しみについて考えてみてください。


最後にはっきり言わせてください。脱ステロイドに取り組む治療はアトピービジネスではないです。ではなぜ私がこんな話をするのか?先生方が、儲からないような脱ステロイドを推奨するのはなぜか? 答えは簡単です。正しいことを正しい、まちがっていることはまちがっていると主張する強い信念が私たちにはあるからです。協力してくれる皮膚科医の中には、仕事の時間外にも関わらずホームページ上で質問に答えてくれる先生だっています(下記atopic参照)。できることをすべてやり尽くすまでは、私は絶対に逃げません。

atopic(アトピック) アトピー性皮膚炎患者会
http://atopic.info/

ページのTOPへ