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アレルギー検査と食事制限

アトピー性皮膚炎は、アレルギー疾患として考える人が多いですが、アレルギーによる側面よりも「皮膚の防御能力が小さいことによるトラブル」として考えた方が合うケースが多いものです。

アレルギー検査をすると、「○○陽性」と判定が出るものがありますが、この「陽性」であるものが、本人にアレルギーを起こしている証拠はありません。単に、検査をすると引っかかってしまうというだけです。実際は、食べてみたときの症状[下痢・嘔吐・じんましん]で判断することが必要です。

乳幼児の場合は、アレルギーがなくても「○○陽性」と出やすいので、検査をしないほうがよいと考えられます。

食物アレルギーとは、食事をとった後に、じんましん、下痢・嘔吐、のどの息苦しさが起きることです。離乳食のころの乳児にはよくみられます。この場合は、食事制限が必要になります。一方、お母さんにそれらの症状がでることはありませんから、授乳中の母親は、全く食事制限は不要です。成人の場合もじんましんなどの既往がない場合、食事制限は不要。過度の食事制限をすると、精神的にも負担が大きく、栄養的にもマイナスですので、アトピーの皮膚症状の悪化をみることがあります。

「(成人は勿論のこと)乳幼児の食物アレルギーはあまりにも過大評価されすぎている。ほとんどのアレルギー検査や食物制限はまったくの無駄である」「IgE-RAST検査などの検査が陽性であっても、食物を食べてじんましんがでたり、下痢、ショック症状がなければ、アレルギー陽生と評価しない。検査が陽性でも、アレルギー現象が起こらないことが圧倒的に多い」(「患者に学んだ成人型アトピー治療」佐藤健二著より)

食事制限はいりません。水分量の制限が必要な時期はあります。

「患者に学んだ成人型アトピー治療」(佐藤健二著・34頁)に次のような記載があります。「たんぱく質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどのバランスがよければ、和食でも洋食でもいい。(中略)滲出液と落屑が多い時はたんぱく質と脂肪を多くとる」「水分を多くとると滲出液の増加や浮腫の増強が起こり、皮膚は傷つきやすく治りにくくなるので、水分を制限する必要がある」。これはほぼ、すべての患者さんに共通すると考えられます。

積極的に「たんぱく質」を

皮膚を作るのは「たんぱく質」です。肉・魚・卵・豆類は、1日3回食べることをすすめます。特に症状が強く出ている時期、皮膚の落屑が多い時期、滲出液が出る時期など、皮膚が壊れている時は、新しい皮膚を作るためにしっかり食べてください。

アトピーが悪化した時、「肉や魚をやめる菜食主義」を実践するケースがありますが、たんぱく質の摂取量が減り、皮膚の改善を遅らせます。「水分を多量に飲んで体内の毒を出す」という方法をとる方もいますが、水を大量に飲むとむくみが起こり、かゆみも湿疹も悪化していくケースが多いため、おすすめしません。

1日3食のリズムが大事

生活のリズムを整える上で、1日3食の食事が大切です。7時・12時・7時と規則正しく、夕食は遅くとも8時までにすませ、その後は飲食を避けましょう。

水分制限が大切

アトピーを克服するには、水分制限が必要な時期があります。「水分を多くとると滲出液の増加や浮腫の増強が起こり、皮膚は傷つきやすく治りにくくなるので、水分を制限する必要がある」(「患者に学んだ成人型アトピー治療」佐藤健二著・34頁より)。

皮膚症状が強く、広範囲に湿疹があるときは、のどが渇きます。この時は特に水分制限が必要な時期です。一度に飲む量は100~200cc以内に控えましょう。一度飲んだら、次は1時間以上時間をあけて飲むこと。水分を多くとると、下肢のむくみ、滲出液の増加が起きるため、夜、特に夕食後は水を飲まないようにしましょう。薬を飲むときなどは20cc以下の水で飲みます。

水、お茶、コーヒー、ジュース、ペットボトル、炭酸飲料など、飲み物の種類は問いません。飲み物以外でも、果物、ヨーグルト、プリンなど、水分の多い食品は全て水と換算します。

ただし、子どもは大人と違って水分が必要です。子どもには水分制限をあまり強制することなく、「飲み過ぎ」に注意ください。

特別なメニューが必要か?

「たんぱく質、脂肪、炭水化物、ビタミン、ミネラルなどのバランスがよければ、和食でも洋食でもいい。」(「患者に学んだ成人型アトピー治療」佐藤健二著より)

バランスのよい食事とは、どのような食事でしょうか? 昔から、私たちが食べてきたものなら、食べて何も心配ありません。ご飯、味噌汁、魚、お肉、サラダ、旬の野菜などなど…特別なメニュー・食材は必要ありません。

食べたもので、体は作られます。日本人が長年食してきた「食事の在り方」を大切にしてください。「旬の新鮮な食材を食べること」を基本に、バランスが取れている食事をします。

朝食について

皮膚を作るため、たんぱく質は朝昼晩の1日3回食べることが重要です。朝食抜き、コーヒー一杯で済ませると、たんぱく質が入ってきません。味噌汁、納豆、焼き魚、卵焼き、ウインナーなど、なんでも食べてかまいません。

サプリメント

「バランスよく食事をとれば、サプリメントは不要です。サプリメントに入っている不純物による体の障害が問題です。」(「患者に学んだ成人型アトピー治療」佐藤健二著・34頁より)

世の中には、「これを飲めば○○が治る」とアピールする健康食品やサプリメントがたくさんあります。しかし、どれも必要ありませんし、何の役にも立ちません。時には、サプリメントによって肝機能障害などの健康障害が起きることさえあります。アトピーを治すには、自分自身の体を健康にすることが大事です。

糖質制限とその効果

糖質制限は、砂糖と糖質(米、パン、麺)を控えて、肉・魚・野菜・果物を中心にする食事法です。糖質をとらないので、インシュリンの分泌が少なく血糖値も上がらないというメリットがあり、初めは糖尿病の治療として発案されました。

その後、「インシュリンが分泌されると肥満が起こる」というメカニズムから、糖質をとらずインシュリンの分泌を抑えれば肥満が解消されるため、ダイエット食事法として広く行われるようになりました。肉・魚・卵などたんぱく質の摂取制限がないので、空腹感のないダイエット法として減量に成功する方が多くみられます。

人類が農耕を行う前に行っていた食生活は、果物を摘み、魚をすくい、狩りをして肉を食べるというもの。空腹を覚えずに生きていくために血糖値を上げず、インシュリンを使わないことで、サバイバルしてきたと考えられます。人体の仕組みがこの時代に作られてきたとして、その当時の食事スタイルである「糖質制限食」が見直されてきています。

アトピーの治療としては、効果はまだ、実証されていませんが、「砂糖(糖質)を控えると、かゆみが少なくなった」という実感を持つ方は多くおられます。症状の改善に向けて、試してみる価値はあります。

嗜好品:お酒・コーヒー・紅茶/たばこ

カフェインやアルコールは、体の中でかゆみを引き起こすヒスタミンを放出します。夜の飲酒の後、夜中に強くかいてしまう人が多いため、お酒は避けたい飲み物です。一度症状が改善した方が、忘年会などで深酒をして、前後不覚に寝てしまった後に、強いかゆみや湿疹の悪化を起こすことがあります。

たばこは、皮膚の改善を遅らせるので、避けたほうがよいです。

主食:玄米や雑穀類

白米は、玄米からの精製過程で、ビタミンB群や重要なミネラルであるマグネシウム・亜鉛などが失われています。これに対し、玄米はミネラルをはじめとした栄養素がバランスよく含まれています。さらに玄米は食物繊維が豊富で消化吸収に時間がかかるため、血糖値の上昇スピードがゆっくりで、糖尿病予防にも適しています。また、よく噛むことで消化液の分泌がよくなるメリットもあります。

その他に胚芽米、分づき米、雑穀米、そば、全粒粉パスタなどがおすすめです。

市販の弁当や加工食品と添加物について

市販のお弁当は、栄養面では青菜・豆類・未精製穀物の不足が特徴。サイドメニューや他の食事で補う意識を持ちましょう。

インスタント食品(特にインスタントラーメン)や、加工食品、冷凍食品には、着色剤や防腐剤などの食品添加物が使われているので注意しましょう。

「合成保存料・着色料不使用」と書かれたお弁当でも、例えばご飯に業務用の古米が使われている場合、古米の臭いを消したり、ツヤを出したりする「炊飯改良剤」(グリシンなどアミノ酸類が主成分)が使われていることがあります。「アミノ酸等」など、一見、食品添加物に見えない表示もあります。

油について

ラード・マーガリン・ショートニングなどの油は、控えることがすすめられています。リノール酸含有量の少ないオリーブ油やキャノーラ油などの植物油は、多量に摂取しないことがすすめられています。

サバ・イワシなどの青背魚に多いEPA・DHA、シソ油・フラックスオイル(亜麻仁油)などの植物油は、特に問題は指摘されていません。

牛乳とカルシウム

牛乳についてはいろいろな意見がありますが、飲んではいけないものではありません。

カルシウム不足が心配な方は、「病気になりたくない人はこうしなさい!」(山田豊文著・アスコム)の「体に断然良いカルシウム源」を参考にしてもよいと思います。

色の濃い野菜(ブロッコリー、小松菜、からし菜、カブの葉など)/海藻類/小魚/豆類がおすすめです。

糖分

糖分を過剰にとるとかゆみを強く感じる方があります。砂糖菓子をやめてかゆみがひいたり、症状が良くなった患者さんがおられます。できれば控えることをおすすめします。

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